こんにちは。リスタートトラベルの野中です。

今回は、前の記事に引き続き、認知症、胃ろうや点滴、おむつ排泄、車いすが日常生活で必要なA様の近畿地方から北陸地方への人生最後になるかもしれない家族との想いが詰まった里帰り旅についてご紹介します。

準備でポイントになった移動手段、宿泊先、旅行中だからこその薬剤投与、栄養剤投与、緊急時の対応など、具体的な準備はどうだったのか記載します。

長距離移動

大阪から北陸まで、A様は新幹線を使って里帰りをしました。

◎飛行機で行く場合

・時間は1時間ほどと短い

・横になるには必要な横になるための席の確保が必要 (※飛行機会社にもよる)

◎新幹線で行く場合

・移動に3時間ほどかかる

・座席以外にも横になるのに授乳室(あいているタイミングなら)が使用できる。

A様の場合、排泄や栄養の時間の間隔を考慮すると3時間がちょうどのタイミングだったことと、授乳室で横になって個室で経腸栄養できたことが大きな理由です。

どの移動手段にもメリット・デメリットがありますが、お一人お一人体調や必要な事に合わせて移動中も安心で安全でお客様それぞれに一番最適な過ごし方を考えて選ぶ事が大切です。

実際、A様も予約時に車椅子を使用しており、身体がしんどくなった時や経腸栄養をする際に授乳室を使用させてほしい事を伝え、問題なく授乳室を使用することができました☺

また最近では飛行機でも安心して横になれるサービスが始まったみたいです。

詳しくはこちらから。

旅先での移動手段

旅行中の移動は主に新幹線→宿泊先、宿泊先→お墓、お墓→新幹線でしたが、A様の体調や 坂道や長距離の移動があることを考慮して、公共交通機関ではなく、介護タクシーを使用しました。

介護タクシーは、車いすのまま移動可能で、運転手さんがヘルパー資格があるため乗降がスムーズにでき、A様や家族様の負担が最小限になりました。

介護負担などが増えると、精神的にも体力的にも疲れてしまうので、頼れる所は頼ってみるのも旅を楽しむコツかもしれませんね。

車いす

A様は普段は一般的な車椅子を利用していましたが、ティルトリクライニングの機能の付いた車いすをレンタルしました。

ティルトタイプの車椅子は、座っている姿勢のままの角度で、後ろへ倒せるタイプの車いすです。倒した時にお尻のズレが生じないので褥そうにもなりにくいタプです。

この車いすを利用したことで、車いす移動が多い里帰り旅でしたが、A様が褥そうになることもなく、どこにいても疲れたときには横になれるなど、大活躍の車いすでした。

宿泊先

宿泊先選びで大切にした事

  • 食事形態(A様はミキサー食)、アレルギー対応してくれるか
  • バリアフリーか
  • お風呂にシャワーチェアがあるか
  • お墓・駅への導線
  • ベットか布団か

どういう宿がいいかは本当に介助が必要な程度などによって変わってくるので、お一人お一人にあったサービスのある宿を選ぶ事が大切です。

観光局にバリアフリーの宿について問い合わせをすると教えてくれますよ。

海外はユニバーサルデザインの宿がとても多く、日本も少しずつ増えてはきているますがもっと宿が増えてくれるととっても嬉しいですね!

お食事

アレルギー・ミキサー食の対応
食べた量はほんの少しでしたが、お食事を家族みんなと食べれて、たくさんお話もでき盛り上がり、大満足のお食事となりました☺

A様は全く口からお食事が出来ないわけではありませんが、飲み込みの機能は弱っていて普段は胃ろうから栄養剤の注入で食事をされています。

でも、 里帰りの日の夕食は宿泊先のホテルで、久しぶりに会うご家族とも一緒にするので、食べれなくても他の家族と同じ食事をしたいというご希望がありました。

主治医にも許可を得た上で、ホテルとアレルギー・ミキサー食の相談して対応してもらえました。

薬や胃ろう栄養

里帰り中、新幹線と宿での時間をうまく活用し、トラブルなく栄養剤と薬をすることができました。

栄養や薬はA様の過ごされている施設に普段の時間と量の確認をし、それを基に旅行プランに当てはめました。

例えば‥

いつもの栄養の時間と排便、排尿のタイミング確認して、入浴や外出時に排泄がかぶらないように栄養の時間を調整しました。

出発前に最後に主治医に旅行の胃ろう栄養の時間やタイミングを確認してもらいOKサインをもらって一安心でした☺

排泄

A様はトイレでの排泄ではなく、おむつを使用していましたが、旅中は施設とは違い、すぐ側におむつ交換が出来る場所がある所ばかりではないので吸収率の高いおむつ使用しました。

また、施設の方に排泄のタイミングも聞いていたので、栄養・水分の時間と、排泄のタイミングを調整することで、外出時におむつ交換ができるだけ避けられるようにしました。

もし、外出先でも多目的トイレの位置などは事前に観光協会などに確認する教えてくれるのでと安心です。

お風呂

入浴後の服装でみんなと同じ浴衣を着たいという希望があったので、準備をしてもらい、おそろいの浴衣でホテルを満喫出来ました!

シャワーチェアが有るホテルを選んでいたので、いつものシャワーの介護方法を施設のスタッフに確認し、スタッフでシュミレーションをして当日、A様も問題なく入浴出来ました。

緊急時の対応

主治医に、旅先でA様がしんどくなった時にどこの病院に搬送しても大丈夫なように紹介状を書いてもらって持っていきました。

また、移動中、場所をいくつかに区切って、ここまでなら帰宅する、ここまで来たら近くの病院(予め緊急も受け入れてくれる病院を調べていました)に自分たちで行く、こういう時は救急車を呼ぶなど、具体的に主治医と一緒に決めました。

実際、道中も旅先でも体調が悪くなることがなく過ごせましたが、医療が必要な方の旅では緊急時の対応を綿密に決めておくことは、一番重要です!

看護師スタッフとして参加して思うこと

この里帰りに準備から当日まで関わって、一番心に残ったのは、施設で出会った時と旅行先でのA様の表情が全く違ったことでした。

施設で過ごしている時は、無意識に病気になり、歩く事、食べる事、トイレも自分でできない…と諦めていたのか表情も硬かった印象でしたが、思い出の地やご家族と触れ合った時の明るく優しく楽しそうな姿がを見た時、これが本来のAさんなんだと感じ、衝撃でした。

看護師として様々な方と関わっていて病気や怪我を持った多くの方が、病人・けが人・と元気な時の本当の自分を見せにくくなっているのでは、と感じます。

しかし今回の里帰りを通して、医療・介護・福祉に携わる私達が毎日行っている当たり前のお手伝いを少し工夫してするだけで旅行にいけるということを実感し、Aさんのような方がもっと増えればいいなと、活動を続けています。

旅は日常の延長。

これが私の気付きであり、大切にしていることです。

旅を目標に日々の生活から整えたり、リハビリを頑張ったり、旅が終わってもまた新たな目標に向かって1日1日を過ごすことの大切さを実感しています。

ご相談があればいつでもお問い合わせ下さい。

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